山梨と宝石「日本の神々『コノハナサクヤヒメ(木花之佐久夜毘売)3」46
コノハナサクヤヒメの本名カムアタツヒメ(神阿多都比売)は、南九州阿多の姫の意と考えられ南九州は隼人族の住んだ土地でありウミサチヒコが隼人阿多君の祖であることから、元来はこの地を本拠とする隼人族が奉斎した神だ。ニニギノミコトがこの神と出会った「笠沙御前(かささのみさき)」は、『日本書紀』に「吾田の長屋の笠狭の碕(みさき)」とあり、今の南さつま市の野間岬に比定される。『古事記』でも、ウミヒコは阿多隼人(九州の薩摩半島に住んでいた)の祖と書かれていることから、国文学者によると海幸・山幸の神話がもとめられた目的は、隼人が天皇家に服属する理由を説いていることが最も重要なポイントで、もう一つは天皇支配の正当性と根拠を与えるもの。それは、ニニギノミコトが天上世界の支配権をアマテラスから受け継いで天孫降臨し、オオヤマツミ(地上世界の支配者)の娘であるサクヤヒメと結婚して生まれた山幸彦(ホオリ)は、オオワタツミ(海の支配権をもつ)の娘であるトヨタマヒメと結婚し、その間に生まれたウガヤフキアエズとタマヨリヒメとの子である神武天皇は天上・地上・海の世界、つまりこの世の全体を支配する力を与えられたことの説明になっているという。そこでなぜ天孫降臨が日向であったのかに関して、神話の中で天皇家の祖先とされる山幸彦と、隼人の祖先である海幸彦は兄弟だったことからその地が求められたとのこと。その頃、政治の中心は第1期エミシによるヤマト(朝廷)にあったので、ニギハヤヒ(饒速日命)が協力した神武天皇の「東遷」となり、やがて第二期ヤマト朝廷と代わっていく。
ところで、山の神(オオヤマツミ)を父にもつコノハナサクヤヒメは、困難な状況下でも無事に出産したので安産・子宝の神様として信仰される一方で、火中出産をしたことが転じて、噴火を鎮める神様としても崇められるようになった。静岡県の富士山本宮浅間大社をはじめとする全国約1300社に祀られ、それ以外でも神奈川県の箱根神社など火山にちなんだ神社などで祀られている。さらにニニギノミコトとの結婚のエピソードから、恋愛成就・縁結びの神様としても崇拝される。
さて、桜の語源となった木花之佐久夜毘売だが、その花びらが風に舞う美しさをイメージしたリング花雫(HANASHIZUKU)が(株)クロスフォーからでた。
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