ティファニーの「ブルーボックス」1
世界五大ジュエラーのひとつティファニー(Tiffany&Co.)は、1837年フランスで エルメス(HERMES)が創業した同年代、ニューヨークにてチャールズ・ルイス・ティファニー(Charles Lewis Tiffany)とジョン・バーネット・ヤング(Johon B. Young)によりティファニー&ヤング(Tiffany & Young)の創業を始める。当初は文具や装飾品の取り扱いからスタートし、8年後には世界初となるメールオーダーカタログ「ブルー ブック(BLUE BOOK)」を発行して話題になる。
1848年、ティファニーに大きな転機が訪れる。ヨーロッパの王侯貴族などの貴重な宝石を購入しアメリカを代表とする宝石商としての地位を得たのだ。そしてティファニーの代名詞ともなる初のダイヤモンドジュエリーの販売を開始し、当時の報道陣から「キング・オブ・ダイヤモンド」と称された。一方で数年後には現在でも有名な銀製品の取扱いを始める。
1853年、C・L・ティファニーは共同経営者たちから経営権を買取り、現在まで使用されているティファニー&カンパニー(Tiffany&Company)に改称してティファニーはマンハッタンの中で何度か移転を繰り返し、1940年に現在の場所に移転。今でもボックス、フランネル(巾着袋)、などで活躍するアイコニックのティファニーブルー(イギリスのヴィクトリア朝時代、重要な台帳の表紙に使用され大切なものを表す色とされた「こまどりの卵」の青色)をカンパニーカラーとしたのは「我が社の商品はどれも気品高くあらねばならない」という信念と合致したからだ。1906年、ニューヨークサン紙に掲載されたブルーボックスにまつわる有名な記事がある。「ティファニーは、いくらお金を出されても売らないものが一つだけあります。ただしお客様がティファニーの商品をお求めいただければ無料で差し上げます。それはティファニーの名が記された箱です」。その価値感を大切にしてたのだ。品格漂うブルーボックスには同じく祝福、純粋、純真、完全など象徴的な意味をもつ白いリボンが結ばれ、リボンの端を引っ張ると簡単にするりとほどけるようラッピングに至るまで気配りをした。シンプルだが全美で現代のミニマリズムさえ感じさせられる。