山梨と宝石「日本の神々『木花之佐久夜毘売』1」44
サルタヒコ(猨田彦神)の道案内によって無事に高千穂の峯に到達(天孫降臨)したニニギノミコト(瓊瓊杵尊)は笠紗の岬が気に入り、ここを定住の地と定めて堂々たる宮殿を建てた。ある日ミコトが笠紗の浜を散歩していると、非常に美しいひとに出会った。ミコトはその美人に向かって「あなたは誰の娘であるか」とたずねると「私はオオヤマツミノカミ(大山津見神)の娘で、名はカムアタツヒメ(神阿多都比売=鹿児島県西部地方に住んでいた集団の阿多隼人族)、別の名をコノハナサクヤヒメ(木花之佐久夜毘売)と申します」と答えた。そこでミコトは「あなたには兄弟はあるか」と問うと、「イワナガヒメ(石長比売)と申す姉がおります」と回答。ミコトはすかさず「私はあなたと結婚したいと思う」というと「私はお答えしかねます。父が申し上げるでしょう」というので、ミコトはさっそく結婚を申込みに行くと、父神は大いに喜んでお受けになり、姉のイワナガヒメも添えて嫁がせた。ところが姉は甚だしくみにくい容姿だったので、ミコトはすぐに実家に返してしまい、コノハナサクヤヒメだけを手元に置いて一夜の契りを結んだ。オオヤマツミノカミは、姉の方のイワナガヒメを返されたので、嘆息してミコトに「娘二柱を共に献ったのは、イワナガヒメを娶れば、天孫の命は岩の如く不動となり、コノハナノサクヤヒメを娶れば、木の花の栄える如く栄えるであろうという誓約=(うけい)をしたためであったが、姉を返して妹のみを娶ったことで、天孫の命は木の花のように短くなるであろう」と言われた。これは寿命に関する古代日本人の運命観を伝えたものだ。この姉妹は切り離すことができない表裏一体の関係であることをミコトは見抜けなかった。サクヤヒメが一夜にして子どもを身ごもったそのあまりに早い妊娠にミコトは疑いをもった。「一晩で子をなすことができようか。私の子ではなく、他の神の子だろう?」夫の態度に憤慨したサクヤヒメはすぐに産屋を作り返答する。「お腹の子が天つ神であるあなたの子なら、無事に生まれてこられるでしょう」そう言うと産屋に入り扉を土でふさいで火を放った。
さて、(株)クロスフォーから桜の語源となった木花佐久夜毘売の花びらが風に舞う美しさをイメージしたデザインのペンダントこぼれ桜(KOBOREZAKURA)がでた。