「団塊シニア層の夫婦の一人ひとり」
団塊シニア層の夫婦は自分自身を見つめ直すためお互いに距離を置き始めると言われる。まず同じ寝室内でベットや布団を共にすることを避け、長じて子供が独立して空いた部屋にどちらかが移動し、共有の時間は食卓やリビングで持つ。また空き家になった両親の実家や、現役時代に購入したセカンドハウスに片方が移り住むこともある。法的には夫婦の関係を保ちながら、同居にこだわらず互いの自由を尊重して暮らすスタイルのを「卒婚」というが、双方が健康であれば成立する。
「卒婚」に関してテレビが50歳以上の1500人に実施したアンケートによれば、半数以上の女性は関心あり、家事からの解放と夫との距離を持ちたいという。一方、男性は興味ない人が半数以上に達し「卒婚を考える妻はエゴの塊、夫婦は死ぬまで一緒」と多くの反発意見があったとは、ニールヤングのヒット曲「a man needs a maid 」の世界観だ。男女の考え方に温度差があるのは確かだし、それは墓問題にも繋がる。全国の既婚女性880人に行ったテレビの調査によると、10人に6人が夫の墓に入りたくないと回答。その理由は「知らない先祖と一緒は嫌」が最も多く4割で、次に「遠い・縁のない土地にある、夫の家族が嫌い」と続く。この結果を踏まえて既婚男性約1300人に「夫婦は一緒の墓に入るべきか?」の問いに6割強が「そう思う」と答えた。更に実況中継では「死ぬ時くらい自由にさせて!遺灰は海に蒔いて」という妻に対して夫は「そうは行かない」と反論。結論は、妻が先に逝ったら遺骨の一部をミニ骨壷に入れて保管し、その後、夫の墓に一緒に埋葬することで妥協する。夫婦の覆水盆に返らず、溝を流るだ。
私達のおもな願望に、食べたい物を口にして、心で思う事を表現出来て、行きたい所へ自由に行けるなどある。それらは自然や人との繋がりの上に成り立ち、感動が伴う。そこから感謝や再認識の気持ちが生まれ、願望は大望に、それこそが私達が生きている本来の醍醐味では?そこで、何か快いこと、良いこと、優れたこなどをあらゆる方向からアプローチして、素敵な生き方が出来るような時空間を展開。
Jewelry sommeliere
- 美時間
- NY州立大学FIT卒業。 米国宝石学会鑑定・鑑別有資格(GIA-GG,AJP)。 CMモデル、イベント通訳コンパニオン、イラストレーターなどを経て、両親の仕事を手伝い十数カ国訪問。現在「美時間」代表。今迄培ってきた運命学、自然医学、アロマテラピー、食文化、宝石学などの知識を生かし、健康で楽しく感動的な人生を描くプランナー、キュレーター、エッセイスト、ジュエリーソムリエール(Jewelry sommeliere)
2015年6月2日火曜日
ワイン王国No.58
シャンパーニュとダイアモンド
シャンパーニュを飲む度に、グラスの中でダイアモンドがキラリと光るような気がする。というのも、ダイアモンドが誕生する時と、シャンパーニュを開栓したときに勢いよくボトルからはじけるコルクの状況が似ているからだ。
諸説あるが、ダイアモンドは高温・高圧の条件がそろった、ある限られた地域のマントルと地表の間で育つ。鉱物の中では珍しく炭素100パーセントの成分からなり、その炭素原子は自然界に存在するほかのどの物質よりも硬く結びついている(それで婚約指輪に用いられる)。その後、数億年から数十億年も地中に眠り、マグマの上昇に伴い母岩に包み込まれて勢いよく上昇し、マグマ内の膨張した気体が大部分水蒸気と二酸化炭素になり(シャンパーニュのボトルを振ったときの気体と同じ状態)、この強力な気体の膨張と噴出速度によりダイアモンドが地表に誕生する。もしもダイアモンドが上昇していく旅の途中、圧力が下がった状態で長時間高温にさらされると、これが運命の分かれ道となり、皮肉にもグラファイト(炭)に変質してしまう。
ブッタが悟りの境地について、’’金剛心=ダイアモンドを得た心’’と表現したと言われるくらい、ダイアモンドはすべてを貫く純粋な透明感と輝きを放つ炭素の塊。それが人々の手によりファセットカット(宝石の加工方法)され、7色のスペクトルをすべて包括し光り輝く美の完成に達するまで多くのプロセスを経る。その昔、偶然生まれた泡立つワインから始まったというシャンパーニュ造りも、同じく人々の手により試行錯誤をくり返しながら究極のご褒美になった。ともに、ガイアである地球が生み出したものを、人類が悠久の時を経て完成させた最高傑作であり芸術品だ。
ところで、私が初めてシャンパーニュを口にしたのは、かつてニューヨークに留学していたころ。サンクスギヴィング(感謝祭)当日、隣人夫婦のセカンドハウスに招かれた。素晴らしい欧風の絨毯と織物のソファー、主人の趣味である見事な刺しゅうと置物に囲まれ、暖炉の火がゆらゆらと燃えた、まるでおとぎ話にでも登場しそうな部屋で、勢いよくシュポンと栓が抜かれたボトルから、黄金色の液体がフルートグラスに注がれた。当時は銘柄など全く気にも留めなかったが、彼が取っておきのシャンパーニュだと話してくれたことが頭の片隅に刻まれている。細かくクリ―ミーな泡が途切れることなく、グラスの底から立ち上がってくる不思議な飲み物を口にした時の感動と、アッという間にのどに消えた後にいつまでも続く心地よい余韻は忘れられない。
今も毎年訪れるニューヨークでの楽しみのひとつは、膨大なシャンパーニュがストックされた専門店で、日本では入手しにくい銘柄やお気に入りを買い求め、それとマリアージュする料理を作り、友人らと晩餐を楽しむこと。
ともあれ、グラスに注がれたシャンパーニュを見る度に感慨深くなる。それはロゼを除いた色合いにおいて、「ほとんどが、わずかに黄色味または茶色味を帯びており、ライトイエローが多い」というダイアモンドの価値を決める4C(carat、cut、color、clarity)のひとつであるカラーの定義と似ているからだ。
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