山梨と宝石「エクセレントロック」(留め金)15
世界を舞うクロスフォーカット、ダンシングストーンを演出したサンリオウの土橋氏はその舞台裏に目を向け始めた。きっかけとなったのは「ジュエリーをもっと簡単に身に着けたり外せたりできれば」との最愛の伴侶からの呟きからだ。
ネックレスやブレスレットを装うさいに必要となってくるのがクラスプ(留め金)で、脇役でありながら主役の華やかな舞(ジュエリー)を支えてつなげていく重要な役割を担っている。さらにわずか数ミリの貴金属などのチェーンに合わせるとおのずと小さくなり着けづらい。自らの経験上だが、片手でつける難しさも加わるテニスブレスレットなど、時間がないときは着けることを断念していた。チェーンを簡単につけられ、デザイン上でもジュエリーの美しさを損なわないクラスプがあったら良いなと願うのはジュエリー好きな人のもつ共通の要望だ。
その矢先、救世主サンリオウにより開発されてお披露目されたのが、縦長構造によりチェーンのラインに沿ってデザインを損なわずにつながり充分にその美しさを堪能、簡単に片手で挟んで着脱できる止め金具の「エクセレントロック」(特許出願中)だ。そしてこれはダイヤモンドに刻んだクロスフォーカット、ダンシングストーンとすべてを繋いでいく影の立役者になっていく。氏は、「クラスプは地味ではあるけど、チェーンをつなげるのに欠かすことができない大切なパーツなので、すべての商品とコラボレートしてお互いにwin-winの関係を保てば、大きな市場になると思う。また世界のジュエリー市場は50兆円に迫るといわれているなか、クラスプの市場は2000億円になるのでは」と期待に胸を膨らませる。さらに「エクセレントロックの上に蝶々などのカバー(ジャケット)を制作したが、お客さまがOEMでオリジナルのカバーを作ることもできる」と語る。
2019年の秋、香港の展示会にてこのクラスプを発表したところ予想以上の大きな反響があり、たった1日でジュエリー業界の大手が押し寄せたとのことだ。氏は「この商品は、世界のブランドと共存・共栄の関係を築けるしまた、していくべきである」と語尾を強める。「そして多くの人々が使ってくれることにより世界中に広まっていくのでは」と、三方良しの現代的経営哲学をもつサンリオウの瞳は、ダンシングストーンのようにキラキラと輝いてみえた。