7月の誕生石ルビー「紅玉」
古来から人間は 太陽・炎・血など生命力を連想させる赤い色にいち早く反応してきた。従って古代サンスクリット語の'ratnaraj'(貴石の王者)と呼ばれたルビーは、歴史的にも重要な色石である。名前の由来は'rubber'(赤色の石)というラテン語で、当時の赤い宝石の総称(赤いガーネットやスピネルなども)。英国王室の王冠に飾られた巨大な宝石 '黒皇太子のルビー' がレッドスピネルだったことは有名だ。東南アジア原産のルビーはオリエントだけではなくヨーロッパに渡り、護符・健康・長寿・富・知恵・恋愛成就をもたらす神に捧げられ、また身体に付けられてきた。
ルビーがサファイヤと同じコランダム(鉱物)族と判明したのは、近世の宝石学の進歩による。そしてコランダムの中で、1~2%の'クロム'を含むことにより濃く赤い色調に変化したものだけをルビーと呼ぶ。
ルビーは血液・心臓と共鳴して、体内の血行に大きく関係する諸中枢を浄化するといわれ、元気の源である第1チャクラと、愛や癒しの第4チャクラを活性化する。またダイヤモンドと同様、とくに質の良い大きめなルビーは、身に付ける者のエネルギー(善しも悪しも)を増幅させる。万が一、博愛精神に欠け強欲が過ぎると、この石から投影される'永遠の炎'をもって浄化されるという。
作家フィリッパ・グレゴリーの小説『ブーリン家の姉妹』の中で、英国王ヘンリー8世の最初の皇后キャサリンの侍女だった妹のメアリーは愛に生きた。かたや富や権力全て欲した姉のアンは、王ヘンリーから大きくて立派だと思われたルビーを贈られるほどの間柄になる。やがて皇后の座を奪い、冷酷非道に走り出した矢先、処刑場が彼女を待っている。