Jewelry sommeliere

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NY州立大学FIT卒業。 米国宝石学会鑑定・鑑別有資格(GIA-GG,AJP)。 CMモデル、イベント通訳コンパニオン、イラストレーターなどを経て、両親の仕事を手伝い十数カ国訪問。現在「美時間」代表。今迄培ってきた運命学、自然医学、アロマテラピー、食文化、宝石学などの知識を生かし、健康で楽しく感動的な人生を描くプランナー、キュレーター、エッセイスト、ジュエリーソムリエール(Jewelry sommeliere)

2016年5月7日土曜日

週刊NY生活No.582.5/7/16'「5月の誕生石エメラルド」


                           エメラルド(翠玉)

   エメラルドは紀元前4千年頃、バビロニアでヴィーナスに捧げる宝石として取り引きされた。富や権力の象徴であり、解毒・免疫系賦活・眼病全般に効くとされ、またその美しさからクレオパトラや皇帝ネロなど偉人たちを虜にした。キリストが最後の晩餐に使った聖杯(グラール)はエメラルドから彫られたという言い伝えもある。
  太古の昔から絶大な人気を誇る '宝石の女王エメラルド' の魅力は、鮮やかな透明感と、深みのある少し青みがかった緑や、暖かくより強い純粋な緑の色合いだ。その反面、他の宝石と比べると一般的には嫌われる内包物(インクルージョン)が多いのが玉に瑕だが、この石に限りある程度は「庭園を見ているよう」だからとフランス語の'ジャルダン'と呼ばれ、またコロンビア産に見られる岩塩・塩水・気泡による三層インクルージョンは「かつては海底にあった神秘的な証」などと美化する傾向がある。
  この石を身に付けると、胸(第4チャクラ)の深部に作用して全てのチャクラの中枢の働きを高め、神経を鎮めて、肉体・精神・魂全般に平和と調和をもたらす。

  英国の小説家サマセット・モームの作品『女ごころ』で、主人公のメアリーが30前にして未亡人になるとすかさず亡き父親と同士のエドガーから求婚される。この男は彼女が子供の頃から好意を寄せていて、彼女が結婚した時にエメラルドを幾つも贈った。この石は贈る者の波動が中に込められると言われ、この男の愛は富と権力の上にあった。計4人の男たちがメアリーの美貌に翻弄されるなか、彼女はエメラルドの精がとりついたように慈悲心に溢れ、自分の心に嘘をつけない正直な行動が裏目にでるが、最後には真実の愛を確信する。ちなみに身に付けるエメラルドは単独もしくはダイヤモンドとの組合せが良い。