Jewelry sommeliere

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NY州立大学FIT卒業。 米国宝石学会鑑定・鑑別有資格(GIA-GG,AJP)。 CMモデル、イベント通訳コンパニオン、イラストレーターなどを経て、両親の仕事を手伝い十数カ国訪問。現在「美時間」代表。今迄培ってきた運命学、自然医学、アロマテラピー、食文化、宝石学などの知識を生かし、健康で楽しく感動的な人生を描くプランナー、キュレーター、エッセイスト、ジュエリーソムリエール(Jewelry sommeliere)

2017年7月27日木曜日

週刊NY生活No639 7/15/17' 獅子宮(しし座)とアンバー(琥珀)

                     獅子宮(しし座)とアンバー(琥珀)

  植物起源の有機宝石アンバー(琥珀)は、太古の松柏科の樹木が分泌した樹脂の特定成分が、空気や水、昆虫、草木などを取りこみながら急速に土中に埋もれてたのち、3千万年以上の時を経て化石化したもの。まるで有史前の記憶がジオラマのように封印されたタイムカプセルだ。アンバーは、樹脂を分泌した木が倒れた地層、その木々が川から海に流れ漂着した沿岸や海底層から発見されるが、その産地は世界的に多く人類との関わりも古い。1億3千年前の装身具がヨーロッパの遺跡から発掘された(約2万年前のビーズは北海道の遺跡から)。ロシアからヨーロッパにかけてのバルト海沿岸地域は、古来最上質のものが大量に産出する。ちなみに透明感のある赤みがかった琥珀色は価値が高い。またドミニカ共和国の、強い蛍光により外観が青みがかったものも注目される。
  アンバーは人の爪ほどの硬度で、その暖かい光沢と透明感のある黄金を思わせる色合いは、大地と太陽のパワーを宿すと言われる。樹木が二酸化炭素を吸って酸素を吐くように、マイナスエネルギーをとって心身にプラスエネルギーを循環させるので、これを身に付けると悪霊を払い、病気に効いて(成分のコハク酸は鎮痛剤)幸運をもたらすとされた。中世のキリスト教のロザリオは大半がアンバーだ。その語源はアラビア語の「Anbar(アンバル)」意味は、龍涎香(マッコウクジラの腸内に発生する結石で、希少性の高い香料)のような香り。当時琥珀の取引を一手に担っていたアラブ人は、龍涎香と同じ性質(海原に浮き暖めると芳香が漂う)を持つ琥珀が重ったのだ。
  太陽を守護星とする獅子宮は、情熱的で明るく正義感が強く、包容力に行動力が伴うので集まってくる人々の上に立つ。一方、眼中無人になりやすくトラブルを招き、身心ともに停滞ぎみになる。そんな獅子宮にとってアンバーは力強い守護石だ。

週刊NY生活No.635 6/17/17' 巨蟹宮(かに座)とムーンストーン(月長石)

              巨蟹宮(かに座)とムーンストーン(月長石)

  日没後、漆黒の夜空に浮かぶお月さまは、悠久のときを経てもなお世界中どこに居ようと私たちを照らし見守っている。そんな月の光を宿したような乳白色のムーンストーンは、紀元前1世紀頃から神秘的な宝石として人びとに崇められ大切にされてきた。インドでは聖職者が身につけ、月が農作物の収穫に影響を与えることを熟知していた農夫は、豊穣を祈り農具につり下げた。ヨーロッパではこの石のなかに月光やその位相(周期)が見られるとされ、石の力が最大になる満月に祭りをおこなった。月が煌めく海の上を旅する人の絶好なお守りでもあった。月が下弦のときにこの石を口に含み、月の守護神"ガブリエル"に祈りを捧げれば、持ち主に未来を予知させると信じられ、また愛と富、勝利を授ける女神"ディアナ"の姿をこの石に重ねて幸福を祈願した。
  ムーンストーンの語源は、ギリシャ語で月を意味するセレニテス(selenites )。この石の放つ閃光(幻想的な波打つような光の揺らめきで、それが青色だと価値が上がる)は、カボションカット(丸い上面と平らな底面)に研磨すると現れる光学的効果のひとつで、この石を構成している正長石と曹長石(花崗岩のおもな成分)の微細な互層構造により生じる。ミスティカルなイメージのムーンストーンは、アール・ヌーボーからアール・デコにかけてのジュエリーの絢爛期に用いられ大変流行した。

  巨蟹宮(かに座)は自分の世界、ヴィジョンをしっかりと持つマイペースな人が多く、直感が鋭く周りに対して繊細できめ細やかな気遣いができる。一方、傷つきやすく、物質や精神面において安定を求めやすく、変動することが苦手といわれる。満ち欠けによって変化する月との結びつきが深いムーンストーンは、巨蟹宮に"諸行無常"を教えてくれる最適な守護石となる。