山梨と宝石「日本の神々『天の岩戸』2」38
『記・紀』によるとアマテラス(天照大神)が岩戸に姿を隠した理由は、弟のスサノオ(素戔嗚命)のとんでもない乱暴的な行為であるとされている。それを嘆いたアマテラスは洞窟に引きこもり、入り口を大きな岩でふさいで出てこようとしないので世の中は暗闇に包まれ、さまざまな災いが起こるようになった。そこで八百万の神々が天の安河原に集まって会議をしたのだ。一方で、備中神楽でも演じられよく知られた「天の岩戸隠れ」については、邪馬台国(やまとこく)の女王・ヒミコ(卑弥呼)がその後継者であるイヨ(壱与)に代替わりしたことを表現しているという。つまり、アマテラスが隠れるとはヒミコの死を暗示し、多くの神々が集まって知恵をだした結果、再び日の神が出現するシーンは新しい女王の擁立を意味するのだ。また「岩戸隠れ」にはもう一つの解釈、「太陽が月に隠される皆既日食がモチーフになったのでは」という説がある。さらにコンピューターにより、天文現象を再現する研究によって興味深い事実が示された。それは、西暦247年と翌248年に日食が起こったという。そしてこの年はヒミコの亡くなったとされている年で、イヨが女王になった年でもある。その「天の岩戸」の所在地だが、邪馬台国の北九州説と近畿説があるように、九州をはじめに京都など全国にいくつもの候補地が存在しており決定的な場所は断言できない。
神話にもどるが、オモイカネ(思兼神)は、常世の長鳴鳥(にわとり)をたくさん集めて鳴かせ、後に3種の神器になる八咫鏡(やたのかがみ)をイシコリドメ(石凝姥命)に「天の安河の川上にある岩と鉱山の鉄で鏡を作りなさい」と命じ、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)をフトタマ(太玉命)につくらせて、これを大榊の枝に飾り立てゆらゆらと揺って妙なる音を奏でた。すっかり準備がととのうと、天性の美声の持ち主であるアメノコヤネ(天児屋根命)が、祝詞を面白おかしく声高らかに奏しだす。ちなみに、イシコリドメは鏡作氏、フトタマは朝廷の祭りを行う忌部氏、そしてアメノコヤネは中臣(藤原)氏の祖先で、それぞれが天皇家とつながりが深い「天神族」であったことを記録する意味もあり神話に登場したとされる。
さて、株式会社クロスフォーから、アメノコヤネが使った玉鏡をイメージしたデザインのペンダント玉串(TAMAGUSHI)がでた。