Jewelry sommeliere

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NY州立大学FIT卒業。 米国宝石学会鑑定・鑑別有資格(GIA-GG,AJP)。 CMモデル、イベント通訳コンパニオン、イラストレーターなどを経て、両親の仕事を手伝い十数カ国訪問。現在「美時間」代表。今迄培ってきた運命学、自然医学、アロマテラピー、食文化、宝石学などの知識を生かし、健康で楽しく感動的な人生を描くプランナー、キュレーター、エッセイスト、ジュエリーソムリエール(Jewelry sommeliere)

2023年7月3日月曜日

週刊NY生活No.917 6/17/23'宝石伝説65「日本の神々『天の岩戸』2」38

                  
  
山梨と宝石「日本の神々『天の岩戸』2」38


 『記・紀』によるとアマテラス(天照大神)が岩戸に姿を隠した理由は、弟のスサノオ(素戔嗚命)のとんでもない乱暴的な行為であるとされている。それを嘆いたアマテラスは洞窟に引きこもり、入り口を大きな岩でふさいで出てこようとしないので世の中は暗闇に包まれ、さまざまな災いが起こるようになった。そこで八百万の神々が天の安河原に集まって会議をしたのだ。一方で、備中神楽でも演じられよく知られた「天の岩戸隠れ」については、邪馬台国(やまとこく)の女王・ヒミコ(卑弥呼)がその後継者であるイヨ(壱与)に代替わりしたことを表現しているという。つまり、アマテラスが隠れるとはヒミコの死を暗示し、多くの神々が集まって知恵をだした結果、再び日の神が出現するシーンは新しい女王の擁立を意味するのだ。また「岩戸隠れ」にはもう一つの解釈、「太陽が月に隠される皆既日食がモチーフになったのでは」という説がある。さらにコンピューターにより、天文現象を再現する研究によって興味深い事実が示された。それは、西暦247年と翌248年に日食が起こったという。そしてこの年はヒミコの亡くなったとされている年で、イヨが女王になった年でもある。その「天の岩戸」の所在地だが、邪馬台国の北九州説と近畿説があるように、九州をはじめに京都など全国にいくつもの候補地が存在しており決定的な場所は断言できない。

 神話にもどるが、オモイカネ(思兼神)は、常世の長鳴鳥(にわとり)をたくさん集めて鳴かせ、後に3種の神器になる八咫鏡(やたのかがみ)をイシコリドメ(石凝姥命)に「天の安河の川上にある岩と鉱山の鉄で鏡を作りなさい」と命じ、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)をフトタマ(太玉命)につくらせて、これを大榊の枝に飾り立てゆらゆらと揺って妙なる音を奏でた。すっかり準備がととのうと、天性の美声の持ち主であるアメノコヤネ(天児屋根命)が、祝詞を面白おかしく声高らかに奏しだす。ちなみに、イシコリドメは鏡作氏、フトタマは朝廷の祭りを行う忌部氏、そしてアメノコヤネは中臣(藤原)氏の祖先で、それぞれが天皇家とつながりが深い「天神族」であったことを記録する意味もあり神話に登場したとされる。

さて、株式会社クロスフォーから、アメノコヤネが使った玉鏡をイメージしたデザインのペンダント玉串(TAMAGUSHI)がでた。


2023年7月2日日曜日

週刊NY生活No.913 5/20/23'宝石伝説64山梨と宝石「日本の神々『天の岩戸』1」37

       
 
山梨と宝石「日本の神々『天の岩戸』1」37

 

 戦前の日本にて天皇は『天照大神』の子孫で、「現人神(人の姿で現れた神)」であると学校で教えられていたが、現在においてそのことは神話であって科学的な史実とみなされていないという。そもそも日本の天皇は、初代神武天皇から第9代開化天皇までは実在性が薄い天皇とみなされているのだ。そしてヤマト政権の初代大王は第10代崇神天皇とされ、その在位は3世紀後半から4世紀前半というのが定説だ。一方で、「古事記」や「日本書紀」に記された神話は、何らかの歴史的事実が背景にあるという見方も一般的になっている。その崇神天皇の側にあったというモモソヒメノミコト(百襲姫命)は神を憑依させる巫女的な女性として『日本書紀』に登場するが、『魏志倭人伝』にある『鬼道』をもちいて国の大事を占い、神託を告げる巫女(シャーマン)であったヒミコ(卑弥呼)と重ってくる。邪馬台国(やまとこく)域内説の有力候補地でもある、宮内庁により陵墓として管理されている奈良県桜井市の纏向(まきむく)遺跡内にある箸墓(はしはか)古墳(モモソヒメの墓に治定)は、古墳群でも盟主的な全長約280mの堂々たる姿で、後円部の直径は約150mある日本最古級の前方後円墳とされる。そして『魏志倭人伝』のヒミコの墓の大きさ『径百余歩』(約180m)に近いことから古くからヒミコの墓の説がとなえられてきた。さらに、箸墓古墳の築造年代はずっと3世紀後半とされていたが、近年に箸墓古墳周辺から出土した土器を最新の年代測定法で科学調査をしたところ240~260年という測定結果がでたことから、ヒミコの没年は3世紀中頃の247~248年と推定されているのでほぼ一致することがわかった。このことから、箸墓古墳=ヒミコ墓、モモソヒメノミコト=ヒミコといわれる。なお、後に伊勢神宮に祀られたアマテラスも、それ以前は崇神天皇の居所に祀られていた。そのアマテラスにまつわるたくさんの神話のなかでも最も有名なものが「天の岩戸伝説」だ。岩戸に姿を隠したアマテラスを引きだすために八百万の神々が天の安河原に集まり会議をひらき、タカミムスビ(高御産巣日神)の子のオモイカネ(思兼神)が指揮をとることになりそれぞれの役割を決めた。それらの神のひとりに天性の美声の持ち主であるアメノコヤネ(天児屋根命)がいる。

その天児屋根命にちなんだペンダント、言霊(KOTODAMA)が株式会社クロスフォーからでた。