シニア層のペット事情
平成26年度の全国犬猫飼育実態調査によると、飼育率でいうと猫は約996万匹、犬は約1035万匹で、おおよそ日本の約16%の人が飼っている計算になる。昨今、子ども(15歳未満)のいる家庭よりもペットを飼育する家庭のほうが多いのだ。これは飼育環境が良くなったことや、少子高齢化により、犬や猫がペットから生活に喜びを与えてくれるパートナー的存在に変化してきたからである。飼育状況を年代別でみると50~60歳代が最も多く、ペットを飼う効用を聞いてみたところ、「生活に潤いや安らぎを実感できるようになった」「孤独感を感じなくなった」「情緒が安定するようになった」「夫婦の会話が多くなった」など、健康面や精神面そして人と人をつなぐコミュニケーションのきっかけとして重要な存在であることも明らかになった。いわゆる犬猫といえども立派な家族の一員なのだ。それを物語る代表的なケースは、ペットの犬に巨額の遺産を相続させたというニューヨークの大富豪夫人の話だ。
最近、日本でもペットのための遺言書を作成するシニア層が出てきた。実際には直接ペットに遺言書を残すことは不可能なので、信頼できる人間にペットの為の世話や財産管理を任せることによって、ペット自体の所有権を相続して将来を見てもらうのだ。一方、ペットと一緒に入れる墓も増えてきた。犬の平均寿命は13~17年、猫は15~20年といわれるのでおのずと先に死んでいく。そこで、ミニ骨壷に遺骨を保管し将来自分の没後一緒に葬ってもらうという寸法だ。そういえば、かつてわたしがニューヨークに住んでいた頃、隣人は犬や猫を漏れなく飼っていた。その一人が放った言葉が印象的だった。「愛するこの子は神様からの贈り物なの。"DOG" を逆から読むと"GOD"よ!」。