「家族形態が変化しても不変な憶い」
近年なぜ日本の家族形態は単独世帯になりつつあるのか。幾つかの要因を挙げてみると、第一にバブル崩壊後の長期に亘る不況と非正規雇用の増加により生み出された多くの低所得層の若者が家族を持てないこと。第二に女性の三従苦(産まれて→親、結婚して→夫、老いて→子)からの解放による晩婚、離婚、非婚化。第三に65歳以上の単独者の大増加などが思い当たる。2035年には7世帯のうち1世帯は単独高齢者になるといわれ、1985年に夫婦と子供を家族とする「家族類型」を前提に作られた年金制度は崩壊し、特に女性高齢単独者の生活困難が予測されている。
「お一人さま」が急増している昨今、制度設計の早急な見直しが迫られている。ところで、生涯「お一人さま」でもご先祖様はいる(両親がもっとも身近な先祖)。お彼岸やお盆になるとお墓参りに行ったり供養することは、生活の中に自然に溶け込んでいる行事だ。「お盆」が先祖をこちらにお迎えしてもてなすに対し、「お彼岸」は私たちが悟りの地である西方極楽浄土(彼岸)に歩み寄ること。年2回真西に太陽が沈む日を春分の日、秋分の日とそれぞれ定め、その前後3日間、六波羅蜜(布施・持戒・忍辱・精進・禅定→智慧=般若波羅蜜)の修行をして、煩悩に苦しむ現実のこの世である「此岸」から「彼岸」に向かおうというわけだ。彼岸の語源はサンスクリット語の「paramita (波羅蜜多)」の漢訳「到彼岸」の略語。どうやら私たちの人生は「棚からぼた餅(牡丹餅)」とはいかないようだ。因みに今年の春分の日は3月21日なので、18~24日迄がお彼岸にあたる。