Jewelry sommeliere

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NY州立大学FIT卒業。 米国宝石学会鑑定・鑑別有資格(GIA-GG,AJP)。 CMモデル、イベント通訳コンパニオン、イラストレーターなどを経て、両親の仕事を手伝い十数カ国訪問。現在「美時間」代表。今迄培ってきた運命学、自然医学、アロマテラピー、食文化、宝石学などの知識を生かし、健康で楽しく感動的な人生を描くプランナー、キュレーター、エッセイスト、ジュエリーソムリエール(Jewelry sommeliere)

2017年10月2日月曜日

週刊NY生活No647 9/16/17' 天秤宮(てんびん座)とインディゴトルマリン(電気石)

   天秤宮(てんびん座)とインディゴライトトルマリン(電気石)

  黄昏時の夕焼けが去った空はインディゴブルー(藍色)の幕を降ろす。その吸い込まれるような濃青色の宝石にインディゴライトトルマリンがある。
  トルマリンは鉱物名で、スリランカのシンハラ族の言葉トルマリ(宝石の砂礫’Turmali’ )に由来する。この石は、天然の電磁気作用があることから和名は「電気石」で、極性を調整して地球のバランスをとる一方、磁気ネックレスが磁場の作用で私たちの体液や血液のイオン化を促進して新陳代謝の効率を高めるのと同様な働きをする。さらにスピリチャルなシールドとして、目的に向かって行動することを邪魔する要素を排除するといわれ万人に慕われてきた。
  トルマリンのなかで宝石となるのは、主に多彩な色相をもつエルバイト(リチア電気石)グループ。現代鉱物学が発展する18世紀までは彩色法に基づき、この石の青や藍色(インディゴライト)はサファイア、緑色はエメラルド、赤色(ルベライト)はルビーなどと同一視され、何世紀にもわたり人々に愛されてきた。近年、少し緑かかったネオンブルーの南国の海の色を思わせるパライバ(ブラジルのパライバ州で採取されたことで命名)が発見され、希少性が高く人気もある。なお、バイカラーの長い結晶を輪切りにした、中心はピンクでふちは緑色のウオーターメロンは有名だ。

  金星を守護星にもつ天秤宮は、黄道12宮のなかでもバランス感覚と美的センスが秀で社交的。また、分析力や正確性が必要とされる仕事でかなり力を発揮する。かたや相手やその場の状況を表面上の調和を重んじて秤るから後日トラブルが生じやすい。インディゴライトの保有するパワーは、青色の属性をもつ天秤宮の良いエネルギーを増幅し、周囲を幸せに導く本質的な調和を教えてくれる最強の守護石だ。

週刊NY生活No643 8/19/17' 処女宮(おとめ座)とマラカイト(孔雀石)

    処女宮(おとめ座)とマラカイト(孔雀石)

  近年、世界的に有名なブランドが半貴石を取り入れたジュエリーを発表して話題になっている。なかでも金の枠に嵌められた、鮮明な緑色(主成分の銅による色因)の独特な濃淡の縞模様のマラカイトは目を惹く。ロシアのエルミタージュ美術館の冬宮殿にある「孔雀の間」は円柱から調度品などマラカイトがふんだんに使われている。その背景には、19世紀初めにロシアのウラル地方で発見された大規模なマラカイト鉱床がある。一方、マラカイト鉱石は、5千年前頃の古代エジプトで人類が初めて精錬した金属といわれる銅の主原料だ。また現在に至るまで鮮緑色の顔料として重宝されている。  
 孔雀が羽を広げるとみえる目のような模様のあるこの石(和名「孔雀石」に起因)は、多くの文化圏で邪視(博物学者・南方熊楠による「evil eye」の訳語で、悪意を持って目を向けた対象者に不運を与える魔力)から身を守るとされ、特に妊婦や子どもが身に付けた。マラカイトの語源は、ギリシャ語で「葵科の植物ゼニアオイ」の緑色をさした「malache」に由来する。その色合いと模様は目と心を癒すことから、ストレスや緊張を和らげ安眠をもたらす。肉体を守護するパワーを秘めるのは、電導率の高い銅が主成分であることと関係する。さらに洞察力と直感力、冷静な分析力を高めてくれるというが、己がマイナス思考のときはこの石を携帯すべきではない。というのは、負のスパイラルを生じるからだ。 

 処女宮は親切で思いやりがあり責任感の強い律儀な人柄で物事を正確にとらえ、多才な実務能力をもつ。方や描く理想は現実性が乏しく、神経質で他人に対して口うるさく批判的。なお、完璧を目指す処女宮がプラス思考のときにマラカイトを身につけると鬼に金棒になる。