Jewelry sommeliere

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NY州立大学FIT卒業。 米国宝石学会鑑定・鑑別有資格(GIA-GG,AJP)。 CMモデル、イベント通訳コンパニオン、イラストレーターなどを経て、両親の仕事を手伝い十数カ国訪問。現在「美時間」代表。今迄培ってきた運命学、自然医学、アロマテラピー、食文化、宝石学などの知識を生かし、健康で楽しく感動的な人生を描くプランナー、キュレーター、エッセイスト、ジュエリーソムリエール(Jewelry sommeliere)

2018年1月29日月曜日

週刊NY生活No659 12/16/17' 磨羯宮(やぎ座)とラピスラズリ(瑠璃・青金石)

           磨羯宮(やぎ座)とラピスラズリ(瑠璃・青金石)

  エジプト古王国時代の墳墓から現地では産出されないラピスラズリの装飾品、工芸品が数多く発見された。ツタンカーメン王が嵌めていたブレスレットは、数種類の脇石に中心は太陽と再生のシンボルである大きなスカラベをラピスラズリで象ったもので、護符として使われた起源とされる。シルクロードを通じて東方に伝わったラピスラズリは、仏教世界の中心にそびえ立つ須弥山で産出される宝石(七宝)の一つ「瑠璃」のこと。その紫がかった深みのある鮮やかな青色=瑠璃色は至上の色(現在でも良質な石の基準でカルサイト成分の白色混入がないもの。例外はパイライトの金色がバランス良く入っている石で、古代ローマ博物学者プリニウスが「星の煌めく天空の破片」と賞賛した)として神聖視された。
  古代から現代に至るまで最良質のラピスラズリの一大産地はアフガニスタンのバタフシャン鉱山。主に4つの鉱物から構成される岩石のため硬度は5-6と低く、ネックレスやブレスレットに愛用される。一方、昔からラピスラズリは高価な顔料・岩絵具の原材料として有名だが、画家フェルメールはこの青色に魅了されこの絵の具を「青いターバンの少女」をはじめ代表作にふんだんに使用した。今世紀の著名な預言者エドガーケーシーは「ラピスは不思議なパワーを放射して持つ人に創造力と霊能力、凶を吉に変える幸運をもたらす」と述べているが、人の中にすでに存在しているそれらの力を引き出してくれるのだ。

  土星に支配され知性の象徴とも言われる磨羯宮は、己の力で渡り歩く山上の険しい崖からの視座で千里を見通す力がそなわる反面、周りが見え過ぎて冷めた感性になる。そして孤軍奮闘に陥りやすく、人との繋がりや協調性を欠く。また野心が強く物事を一面的に捉えがちな磨羯宮にラピスラズリは意識を変革してくれる強力な守護石となる。

週刊NY生活No655 11/18/17' 人馬宮(いて座)とタンザナイト(ゆう簾石)

    人馬宮(いて座)とタンザナイト(ゆう簾石)

  アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロは、タンザニアの東部に位置し赤道直下にありながら頂きに雪帽子をかぶり君臨する。その南嶺にあるのがさまざまな宝石が眠るメレラニ鉱山で、1960年代にブルー系のゾイサイト鉱物の原石が発見された世界で唯一の産地である。その原石を加熱すると、まるでタンザニアの夕暮れ時の空を連想させる透明で美しいパープリッシュブルーに変化した。それに因んでアメリカのティファニー社はこの宝石を正式名のブルーゾイサイトとは呼ばずタンザナイトと命名し、積極的なプロモーションを行い、今日ではその名前が定着し世界標準表記になっている。デビューを遂げた新しい宝石は一見ブルーサファイヤの色合いと似ているが、最大の特徴は多色性で角度によって異なった色(青、藍色、赤茶色など)が見える。また、自然光や蛍光灯の下では青色に輝き、夜のライトや白熱灯の下では高貴な紫色に変化する。一方、硬度は6~7と多少低く欠けやすいので身につける場合はリング以外が望ましい。現在流通しているタンザナイトは99、9%が加熱処理されている。価値が高いのはより透明感のある色目の濃い石だ。
 行動理念が解放と自由で豪放磊落な人馬宮は、チャレンジ精神や好奇心も旺盛で興味を持つと努力も惜しまず、守護星である木星の絶大なエネルギーが注ぎ込まれ飛躍的に成功する。ところが、自分の好きなこと以外は集中力が切れやすく途中で投げ出してしまい、周囲との同調性を欠くことが多い。タンザナイトはその色合いから、自己啓発を促し冷静さや直感力、柔軟性を高めてくれる。したがって身に付けていると、人生において大事な局面に立たされたとき、思慮深い正しい判断をもたらし好い方向に導いてくれるという人馬宮にとってはありがたい宝石になる。