双児宮(ふたご座)とシトリン(黄水晶)
宝石を語るうえで最も大切な要素はその美しさにある。自然現象によりすでに研磨され輝く宝石もあるが、通常は加工職人が原石からその石のもつ艶やかさを引き出すために腕をふるう。その次は希少性で、産出量が少なく、ほかの宝石にはない色合いや透明度・輝きなど特色があること。それらが研磨やカット以外に手を加えない無処理の宝石になると、サイズや産出地によるが、その価値は数十から数百倍に跳ね上がる。最後に適度な硬さや耐久性があること。
シトリンは茶色や緑、オレンジがかった黄色い水晶で、アメシスト(紫水晶)の鉱脈にあるが、美しいものは滅多にない希少な宝石だ。語源はフランス語の(シトロン'Citron')。市場に出回っている大半は、 アメシストにエンハンスメント(その宝石が本来持つ美しさを引き出すこと。譬えると女性の化粧)の1つである加熱処理を施して色を変えた石。その鮮やかで透明感のある、オレンジがかった黄色や濃い赤みを帯びた大きく美しいシトリンは、かつて「ゴールデントパーズ」と呼ばれ人気を博した。近年に至っても、安価で消費者にとって魅力的な宝石だ。
シトリンは邪気を寄せつけず、繁栄や富を象徴する護符として昔から各国で愛された。波立った感情をおだやかに鎮めて冷静さを取り戻し、心身のバランスを安定させ、ものごとに対して的確な判断力をもたらし成功へと導く。
双児宮はその名の通り2つの心を持つ。知性的で情報の流れに鋭く駆け引きに強いが、何かに夢中になるともう一人の冷めた自分が頭をもたげる。さらに伝達を司る水星の支配下にあり、良くも悪くも弁が立つために、掴んだと思われる運を手放しやすい。まるで諸刃の剣を背負っているような双児宮にシトリンは最高の守護石となる。