山梨と宝石「新ブランド【リゾネイト】の誕生秘話」17
「石を揺らしてキラキラさせるなんて、面白いものを作る会社だなぁ」と、知り合いからダンシングストーンの商品をもらった歌舞伎役者の市川九團次氏は、呟くや否や自身のブランド【FULERU NINE】でクロスフォー社とタイアップし、シルバー×キュービックジルコニアのアクセサリーネックレスを販売した。またサンリ王の土橋氏と会い、いろいろな話をしていくうちにサンリオウはジュエリー、九團次氏は演技で「人びとを感動させたい」という思いがかさなり意気投合していったのは2018年の初頭。それをきっかけに、両者がコラボする「伝統と革新の融合」をコンセプトにした歌舞伎や日本の伝統文化をテーマとするジュエリーのシリーズを打ちだすことになった。すでに自身のブランドをもつ九團次氏だが、物販の最高峰である貴金属とダイヤモンドなどの天然石によるジュエリーブランドをいつかは手掛けたいと思いを募らせていたのだ。そして早速サンリ王のもとで会社のスタッフと共にプロジェクトがスタートとした。九團次氏の意見やアドバイスを中心に、ブランドコンセプト、イメージカラー、ロゴなど歌舞伎の演目内容、登場人物などを深掘りしてシリーズごとに進められた。音楽と同じように歌舞伎のような優れた物語が長きに渡って人々を魅了しているのは、観るごとに人々の状況や心境によって異なる輝きを放ち続けているからで、そこからブランド名【Re;sonate】(リゾネイト)(Reは繰り返しを表し、sonateは器楽を使った音楽の奏鳴曲:ソナタのこと)に命名した。
ついにブランドコンセプト「伝統と革新の融合」による第一弾、気高さや信念、美しさなど自分自身がもつ才能を開花させたことで人生を切り開いた歌舞伎を語るには欠かせない5人の女性をテーマにした【花ひらく】シリーズが生まれた。
使用する地金はプラチナ、イエローゴールド、ピンクゴールドの3色展開で、石は天然ダイヤモンドを使用、今後は色石も導入予定だという。ターゲットは、本物の良さを知り尽くしトレンドも押さえつつ日本の伝統や文化に造詣が深く、上質なものを好む50代以上の女性。
シリーズの最初に登場するのは、巫女でありながら歌舞伎の創始者である自らの才能で新たな芸術文化を作り上げた傾奇者であった出雲阿国。ちなみに、歌舞伎の語源となった「傾く」とは、真っ直ぐではなく一筋ではいかないアウトローを意味するそうだ。