Jewelry sommeliere

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NY州立大学FIT卒業。 米国宝石学会鑑定・鑑別有資格(GIA-GG,AJP)。 CMモデル、イベント通訳コンパニオン、イラストレーターなどを経て、両親の仕事を手伝い十数カ国訪問。現在「美時間」代表。今迄培ってきた運命学、自然医学、アロマテラピー、食文化、宝石学などの知識を生かし、健康で楽しく感動的な人生を描くプランナー、キュレーター、エッセイスト、ジュエリーソムリエール(Jewelry sommeliere)

2021年8月9日月曜日

週刊NY生活No.807 2/20/21'宝石伝説37「サンリの(宝石)オウ誕生」10

         
         山梨と宝石「サンリの(宝石)オウ誕生」10


 日本が誇る代表的なキャラクターに、向かって右側の耳の付け根にトレードマークである赤いリボンを付けた通称「キティちゃん」がいる。これは山梨県の株式会社サンリオで誕生した猫を擬人化したもので、その可愛いさに世界中の子供たちだけではなく多くの女性が心を奪われている。その昔、私がニューヨークに留学していた頃、週末に放映されていた日本の番組に、サンリオの現社長でもある辻信太朗氏が出演された。なぜキティちゃんには口がないのかとのアナウンサーからの質問に「口は災いの元になることも多く、真の友だちになるのに口は要らないのでは」と答えた。また社名である「サンリオ」の由来に関しては、社長の出身地である山梨の音読み「サンリ」と発音し、山梨県の王を目指して命名したと記憶する。その後キティちゃんは山梨県のやまを飛び越えて世界中のお友だちになっていく。成功するステップは、先ずは心に想い描き、それを口にし、そして行動に移すとあるが、まさに有言実行となった。

 ところで、山梨県といえば世界一の宝石研磨地ドイツのイーダーオーバーシュタインに次ぐ日本の宝石のメッカだ。そこにもう一人のサンリ(宝石)王が現れる。

その方は、ダイヤモンドのカットでもっとも有名な「ラウンドブリリアントカット」に並ぶ、クロス(十字架)のような輝きが出るクロスフォーカットや、宝石の最大な魅力のひとつであるシンチレーション(キラキラと揺らいで輝く)を最大に引きだす石留め方法などを、世界に先立ち生みだした株式会社クロスフォー社長の土橋秀位氏だ。

 山梨県、日蓮宗総本山の身延山久遠寺のある身延の周辺で産声をあげた、どこかしら日蓮大聖人に似かよった土橋氏は、高校を卒業すると一度は宝石と関係のない企業に就職するもわずか2ヶ月で退社。雇われの身が性分に合わず、自立しかないという結論を下したのだ。そして大学に進学するが、在学中に海洋資源の探査などを行う一方で、世界を放浪するような仕事にも憧れを抱きだす。その矢先の東南アジア滞在中「サンリの(宝石)王」への階段を上がって行く(宝石業界に進出)キッカケとなるできごとが起こる。それは、あまりの美しさに心を奪われるような、宝石の原石に遭遇したことだ。「原石を調達して山梨の宝石職人に売ればビジネスになるのでは」と閃いたのだ。


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