山梨と宝石「宝石を愛する無厭足(むえんそく)サンリオウ」13
2001年、国内業界で初めて特許を取得した「クロスフォーカット」をきっかけに、サンリオウ土橋氏の会社は非常に大きな転換期をむかえる。国内での売り上げが伸びてそれと比例するように社員も数十人に増えた。「世界的ブランドになるのでは」と、氏のモチベーションは高まり商品を世界で展開する決断を下す。その自信の表れとして2002年、社名をシバドから株式会社クロスフォーに変更。数年後には、香港に子会社を設立して2人の息子たちに任せる(現在はコロナの影響で国内待機中)。ちなみに立ち上げた自社ブランド「Crossfor New York」にてこのカットが施された女性用・男性用のネックレス、ペンダントなどのジュエリー、小物の商品を販売しており、カットが確認できる特殊ルーペも添えられる。
まるで仏教に帰依した後の無厭足(むえんそく)のようなサンリオウは、「ダイヤモンドよりも輝く宝石は作れないが、輝きをさらに引きだす仕組みは作れないか」と大望に満たされていく。すると「宝石が輝くのは光が反射したときだ。常に石が何らかの作用で動き続ければずっとキラキラと輝き続けるのではないか?」と脳裏に閃きが走る。そして石が動くからくりを昼夜を問わず考える一方で、金型を何度も作ると莫大な費用が生じるため自宅の台所で大根などの野菜をくり抜いて試作する。やがてサンリオウは、試行錯誤の日々を経て鋭利にとがった接合部をもつ丸環でぶら下げた宝石が、己の呼吸や心臓の鼓動などわずかな動きに反応して揺れてると光が反射し続けるメカニズムを生みだす
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