山梨と宝石「日本の神々『神婚と虹の橋』」とジュエリー26
『古事記』によると、イザナギとイザナミの二神は天と地をつなぐ天浮橋(あまのうきはし)の上に立って血の交わりをしたと伝える。この橋は虹だといわれ、太陽光線が空中に浮かぶ小さな水滴のなかで反射屈指して起こる光の現象で、吸収されないで反射された波長の光が、赤・黄・青・緑・紫などの色として眼にうつる。ちなみに、虹が天地の通路とする伝承は、昔から民族宗教や土俗信仰と密接なかかわりをもち、日本に限らず古代ゲルマンやインドネシア・台湾の高砂族、インディアンなど、また子どもの霊が虹に乗って昇天するという信仰がオーストラリアやドイツにみられたり、世界的に広く分布している。
このように、色はものを認識するうえでの基礎になると同時に、光の波動から人間の感情や心理に働きかけることから、絵画などの純粋美術や、服飾、室内装飾など応用美術に取り入れられてきた。女性の高い声を「黄色い声」というように、通常と異なる感覚を生じる知覚現象を「共感覚」という。心の色にも三原色(青・赤・黄)にすべての色を反射する白と吸収する黒を足した五色があり、眼・耳・鼻・舌・身にあてはめた。それになぞられた五欲(性・食・睡眠・財・名誉)に執着する欲界と、執着心は超越した陰陽両性からなる色界(仏教にて、衆生は生死の繰り返しで輪廻するという三界のうちの二つで、あと無色界がある)を現実につないで結ぶのが虹で、古典文学的に天浮橋と表現した。さて、『古事記』の「二神(イザナギ・イザナミ)の神婚」によると、初産は水蛭子(ひるこ)=水子で流産してしまう。そこで二神は天に昇ってお尋ねしたところ、女が先に言葉をかけたことが原因であったことがわかり、今度は逆に男から声がけをしたところ、淡路島をはじめ、四国や九州などの国土がつぎつぎに生まれる。一般にお金のことはお宝といい子どものことを子宝という。古代の日本人は子孫を繁栄させることも、国造り・物造り・家造りなどすべて夫婦の和合によって生成されるとし、生殖行為を神聖なものとしてシャーマニズム的な儀式として重んじ生活していたと思われる。
さて、市川九團次氏プロデュースによる天地開闢シリーズに、子宝・安産祈願の神として信仰されるイザナミを中心として万物が誕生するイメージをこめたペンダント『繁栄』(HANEI)が株式会社クロスフォーからでた。