シニア層の終の棲家の選択
最近日本では横浜の欠陥マンション偽装事件をきっかけに、全国で同じような症例が次々に露見して大きな波紋を呼んでいる。建設は有名大手不動産と施工業社によるもので、建物を支える杭が強固な支持層まで届かず、建物の一部が傾いているといった手抜き工事が発覚したからだ。家は人生最大の買物と言われ、数十年のローンを抱えている住人にとってはたまったものではない。そもそもマンションの欠陥問題は露見しにくい。それは住民のなかに、将来転売して介護サービスなどが受けられる終の棲家に移ることを検討している人たちがいるためで、資産価値が損なわれるような情報が表に出にくいからだ。
さて、加齢とともにリスクが高まる脳疾患や心臓疾患などは日常生活に支障をきたすだけでなく、命取りになることもある。そうした不安を取り除いてくれる介護付きの老人ホームもあるが、近年はそれよりも敷居が低い、国の「高齢者住まい法」の改正を受けて、2011年10月以降に誕生した「サービス付き高齢者向け住宅施設」賃貸借方式が話題を呼んでいる。2020年までに整備を急ピッチで進め60万戸を建設する予定だ。居室は台所、水洗便所、収納設備、洗面・浴室と一般的住居に準じており、最低価格帯は25平方メートル以上(食堂やリビングなど共同スペースがある場合は18平方メートル以上)からで、贅沢を言わなければ生活に必要な身の回り品や大切な写真や思い出の品などを持ち込める。提供されるサービスは安否確認と生活相談。食事など日常生活全般はオプションで選べる。入所基準は60歳以上が(要支援者は同居者も)基本。やはり、終棲家の沙汰まで金次第ということか「低価格帯の物件は人気があるので早めに申し込んで下さい」と。