シニア層は片付けが苦手
現代社会の真骨頂はほとんどの家庭でモノが溢れ返り、それらが家の中を占領していることだ。加齢と共に片付けが億劫で先延ばしになり、何処に何を置いたかも忘れ、再度同じモノを購入してはモノが増える。贈答品の箱山だけでなく、商品やお弁当など購入時の紙袋から割り箸まで取って置く始末。モノにつまずき転んで骨折したり、上の棚からモノが落ちてきて怪我をしたりといった事態になっても、どこをどうやって片付けたら良いのやらわからない。そんな悩みを抱えたシニア層が急増しており、部屋の片付けを指南するプロや書籍も増え、テレビでは特集を組むようになった。
まず片付けの基本は数年間使用しなかったモノを処分すること。だがそれが儘ならない。一番の理由は「もったいない」からで、「いつか使うだろう、着るだろう、読むだろう」という先送りの考えだ。そもそも「もったいない」は和製漢語「勿体」を「無し」で否定した言葉であり、「妥当でない」「不届きだ」という意味で用いらた。転じて、「自分には不相応である」「ありがたい」「粗末に扱われて惜しい」などに広がった。環境保護活動家でノーベル賞受賞者のワンガリ・マータイが約10年前、環境問題を考える際の重要な概念として「もったいない」という言葉を使用し、世界共通の言葉となったことは知られている。
テレビを観ていたら、片付けの達人が緑寿と古希を迎えた夫婦を訪ねて実際に部屋の整理整頓を手伝っていた。時間の経過と共に部屋はまるで集中ダイエットをしたかのようにスッキリとした。埃を払われた主人の両親の写真も棚の上で満足そうだ。長男ではないので仏壇を持たないが、「それに代わるコンパクトな祭壇があったらなあ・・」とつぶやいている気がした。
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