支援活動を待つ「お一人さま」
日本で約600万人を数える高齢者の「お一人さま」が人生の放課後を謳歌できるのは、ある程度健康を保っているからだ。内閣府が平成24年に行った全国55歳以上の男女高齢者の健康に関する意識調査によれば、現在の健康状態が普通ないし良好、また生きがい(喜びや楽しみ)を感じるといった人々が8割強にも及んだ。その割には病院に1ヶ月に1回以上通っている人が世界的に見ても多いのは高齢者への支援活動が活発化しているからだといえる。またその人達に認知症が多いのも事実だ。
厚生労働省の調査によると、2012年に約470万人に達した認知症の高齢者が10年後には1.5倍に増える見通しとなり、そこで各界の有識者、地域の暮らしを支える企業・団体や保険・医療・福祉団体などが「認知症になっても安心して暮らせる町づくり100人会議」を発足させた。それに応じて日本全国に約53000店舗(2015年)を占めるうちの大手コンビニも、高齢者を支援するサービスを開始した。注目すべきは地域の自治体と提携した見守り活動を兼ねた宅配だ。出来合いのお弁当やお惣菜を届けるだけではなく、「お身体に変わったことは無いですか?」などと安否を確認したり、「今度おでんを持ってきて欲しい」「郵便物をポストに入れて欲しい」などの要望も受け入れる。最近話題になっている「ドローン」による宅配サービスの提案も出ているが、マンツーマンによるサービスには敵わない。ある高齢者によると、1人暮らしにとって会話をするのは亡くなった妻の写真に向って手を合わせる時だけ。だから宅配の人と1日にほんの数分でも話すことが楽しいという。また「お一人さま」が亡くなっているのを発見することもある。彼らによる通報が半年で70件以上にも及ぶというから驚く。
0 件のコメント:
コメントを投稿