Jewelry sommeliere

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津延美衣(つのべみえ)NY州立大学FIT卒業。米国宝石学会鑑定有資格者(GIA-GG,AJP) 運命学・自然医学・アート・アロマテラピー・食文化などの知識を元に感動的な人生を描くプランナー・エッセイスト・キュレーター兼ジュエリーソムリエール(Jewelry sommeliere) 美時間代表。

2025年2月3日月曜日

週刊NY生活No.988 12/14/24' 宝石伝説83 縁起物と宝石「漆の堆錦(ついきん)加飾法による龍」3

     
      縁起物と宝石「漆の堆錦(ついきん)加飾技法による龍」3


 如意宝珠はどんな願いもかなえる龍の珠として、世界的にも有名な日本の漫画作品「ドラゴンボール」のモチーフにもなった神通力の源といわれる反面、思考はさまざまな煩悩を生む源でもあるため龍は宝珠を持っている限り悟りを開くのは難しいとされる。それは仏教が最終的に目指すものが地獄→餓鬼→畜生→阿修羅→人間→天を六道輪廻といいそこから解脱することで、その後の声聞→縁覚→菩薩→仏界と入っていくことを理想とするから。これらすべてを合わせて十界互具(じっかいごぐ)という仏教の教えになり、私たちが何か願いごとをするときに思わず手を合わせる合掌につながる。さらに地獄界~仏界まで同じところに存在しており、十界のそれぞれに他の九界が備わっていることを意味する。例えば私たちの人間界において、とても考えられないような悲惨なことが起こっている様子は地獄界、おもに本能的生命を維持する行いをするのは畜生界、争い(戦争)が起こっている現象は阿修羅界、生命を尊重しながら精神的な満足を追求するのは人間界、そして物質や精神的なものが満たされている現象は天界となる。その六道の最終的な修練となる天(上)界において、如意宝珠は絶大な効力を発揮する要素となるのだ。

 ところで西暦574年に生まれ、法華経を読んで悟りを開いた中国のお釈迦さまといわれた天台大師の生まれ変わりとされる聖徳太子は、法華経の注釈書をつくり仏教精神にもとづく十七条憲法を定めた。その後、伝教大師最澄上人は天台大師の教えを学び、聖徳太子の理想を日本全国に広めるため比叡山に天台宗を開いた。そして法華経を中心とする天台教学(理想と実践哲学)を打ち上げ、『法華三大部』という今でも多くの仏教教団に深い影響を与え続けている本を世に出した。その法華経にて、釈尊の産湯に立会い甘露水を注ぎ祝い、釈尊が霊鷲山で法華経を説いた際に拝聴したその後、仏教の守護神となった八大龍王「難陀(最も優れた龍王と称される)」「跋難陀」「娑伽羅」「和修吉」「徳叉迦」「阿那婆達多」「魔那斯」「優鉢羅」のことが語られている。

 さて、龍神様はアジア地域全般で縁起物として昔から珍重されているが、中国から伝承された沖縄の琉球漆器に模様が浮きあがる日本独自の堆錦加飾技法により、ボールペンの表面を勢いよく覆う龍神様が蘇った。


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