縁起物と宝石「龍と如意宝珠(翡翠)」2
2024年の干支は「十干」と「十二支」を組みあわせた甲辰(きのえたつ)。その組み合わせは60種類あるので今年の十干の「甲」と十二支の「辰」が重なる60年に一度の年となる。「甲」はもともと亀の甲羅の「硬い外皮」を形容した漢字で、「よろい」や「かぶと」などを意味するようになった。その起源は、紀元前11世紀から16世紀にかけての中国の殷(いん)の時代にさかのぼる。甲は古代中国の歴である十干の第一番目の文字にくる優勢であることを表す記号であることから、契約書を交わすとき当事者の関係や順番を示す場合に「甲・乙」という表現が使われる。一般的に、甲はお客様や貸主などの立場が上の場合、乙は事業者や貸主などの立場が下になるときに用いられる。さらに「甲乙つけがたい」という言葉には、第一と第二の優劣を決めづらいという意味があり、かつての学校の成績(甲・乙・丙・丁)でいう甲と乙の差がつけにくい意もある。そして、十二支の五番目の干支となる「辰」の語源は、振るうという意味で草木が整った状態を表しているとされるのになぜ動物の龍(竜)が当てはめられたのか。後漢(中国)の時代の「論衡」という著書に「雷龍同類」という文言があるが、雷が起こると龍が天に昇るという伝説からきているとのことで、確かに雷が空を走る様子は龍の姿にも見える。日本の「今昔物語」においても龍が出てくる話では雷が発生する。龍のような姿の雷が落ちると大きな音とともに周りがふるえることから振動の意がある「辰(ふるう)」につながりそれで「辰」は「龍」に喩えられたという説があることには納得がいく。ちなみに、「龍」は旧字体、「竜」は新字体および常用漢字で生物上の意味は同じとなる。
ところで、龍が口にくわえたり手に持っている如意宝珠は、「意のままに」という意味を持つ「如意」と宝物を意味する「宝珠」を組み合わせた言葉で仏教発祥となる。サンスクリット語では思考を意味する「チンタ」と珠を意味する「マニ」を合わせた「チンタマーニ」と呼ばれるが、仏教においても、感情や感覚をどう受け止めるかは思考次第で、苦を楽にとらえることもできる「世界を変える力を持つ宝の珠」となる。
さて、ペンダントの龍が手に持つ珠は、東洋のエメラルドと呼ばれる美しい緑色の翡翠(ひすい)で龍と深い繋がりがある相性が良い組み合わせとなる。龍体そのものや如意宝珠に用いると、富と繁栄、長寿の意味合いがより増すとされる宝石だ。
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