コ・イ・ヌール ダイヤモンド
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186ctもある巨大なダイヤモンドは、輝きが不十分(当時のお粗末なカット)にもかかわらず、何世紀にも渡り戦争の略奪品(呪われた石)となり、ペルシャ、アフガニスタン、パキスタン、インドなどで帝国を支配するごとに皇帝の象徴として君臨した。
1739年、ペルシャのナディル王はインドのデリーに侵入し、ムガール王のターバンの中に隠されたこのダイヤモンドを手に入れた。その驚きと喜びのあまり「コ・イ・ヌール(光の山よ)!」とペルシャ語で叫んだことが、石の名前の由来になったという。
1850年、コ・イ・ヌールは、若干5歳でシク王国(インドのパンジャーブ地方)最後の王位に就いた ドゥリーブ・シンの手元にあった。この石を所有していたそれ以前のマハラジャたちが相次いで暗殺されたからだ。それからまもなく、パンジャーブが大英帝国の支配下に落ちると、シンはこの石をビクトリア女王に献上する。
1852年、ビクトリア女王の夫君アルバート公は、インド式にカットされた鈍い輝きのダイヤモンドを再度研磨させ、石の大きさは105.6ctと大幅に減ったが、キズも削りとられオーバル ブリリアントカットの美しい宝石に蘇った。そして4つの異なる王冠に嵌められ、アレクサンドラ、メアリー、エリザベスら、歴代の英国王妃たちの頭を飾ることになった。ちなみに、1900年代に入ると、独立したインドやパキスタンが相次いでコ・イ・ヌールの返還を主張しはじめ、2015年にはインドの投資家のグループが返還を求める法的手続きを開始したという。
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