巨蟹宮(かに座)とムーンストーン(月長石)
日没後、漆黒の夜空に浮かぶお月さまは、悠久のときを経てもなお世界中どこに居ようと私たちを照らし見守っている。そんな月の光を宿したような乳白色のムーンストーンは、紀元前1世紀頃から神秘的な宝石として人びとに崇められ大切にされてきた。インドでは聖職者が身につけ、月が農作物の収穫に影響を与えることを熟知していた農夫は、豊穣を祈り農具につり下げた。ヨーロッパではこの石のなかに月光やその位相(周期)が見られるとされ、石の力が最大になる満月に祭りをおこなった。月が煌めく海の上を旅する人の絶好なお守りでもあった。月が下弦のときにこの石を口に含み、月の守護神"ガブリエル"に祈りを捧げれば、持ち主に未来を予知させると信じられ、また愛と富、勝利を授ける女神"ディアナ"の姿をこの石に重ねて幸福を祈願した。
ムーンストーンの語源は、ギリシャ語で月を意味するセレニテス(selenites )。この石の放つ閃光(幻想的な波打つような光の揺らめきで、それが青色だと価値が上がる)は、カボションカット(丸い上面と平らな底面)に研磨すると現れる光学的効果のひとつで、この石を構成している正長石と曹長石(花崗岩のおもな成分)の微細な互層構造により生じる。ミスティカルなイメージのムーンストーンは、アール・ヌーボーからアール・デコにかけてのジュエリーの絢爛期に用いられ大変流行した。
巨蟹宮(かに座)は自分の世界、ヴィジョンをしっかりと持つマイペースな人が多く、直感が鋭く周りに対して繊細できめ細やかな気遣いができる。一方、傷つきやすく、物質や精神面において安定を求めやすく、変動することが苦手といわれる。満ち欠けによって変化する月との結びつきが深いムーンストーンは、巨蟹宮に"諸行無常"を教えてくれる最適な守護石となる。
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