9月の誕生石サファイヤ「蒼玉」
サファイヤは古代から原産地インド周辺の仏教徒の間で、心に平和をもたらし病気や災難を防ぐ石として尊重された。ヨーロッパでは、インドとの交易が盛んになる以前、サファイヤは青色(ギリシャ語の'sappheiros'を語源)石の総称で、旧約聖書にも登場し珍重されたが、その大半はラピスラズリ(瑠璃)だった。中世の頃から司教は、邪念や色欲を消して神の恩恵を受けると言われたサファイヤの指輪を嵌め、信者に触れて人々の悩みや苦しみを救ってきた。特にこの石を愛でたのが英国王室で、最古は聖エドワード聴罪司祭の宝冠の十字架に嵌められ、近年はチャールズ皇太子がレディ・ダイアナに12ctの婚約指輪を贈った。
コランダム族(鉱物)のサファイヤは一般的に青色を指し、中でも矢車草の花の色をしたインド・カシミール地方の石は最高品質。また青色に限らず、ファンシーサファイヤと呼ばれる、赤色(ルビー)を除く様々な色相がある。
サファイヤは、最も深い藍色光の振動数でエネルギーを集め、直感力が絶大になった持ち主を世界の征服者にするという伝説から「皇帝の石」とも呼ばれた。ナポレオンはこの石(護符)を持ち、次々とヨーロッパの領土を広げ帝国を築き上げる。一方、愛妻ジョゼフィーヌの浮気に悩みこの石を彼女に譲ってしまった。途端に彼は浮気に走り、2番目の妃を迎え待望の皇太子も得たが、これを頂点にロシア侵攻という破壊への道を辿る。
作家の藤本ひとみ『皇女ジョゼフィーヌの恋』によれば、貧困貴族の出で無教養なジョゼフィーヌが地位や財産目当てに逢瀬を重ねたのは処世術であった。彼女は「初婚は不幸で、2度目(ナポレオン)も離婚されるが、王妃以上の身分と贅沢な暮らしが出来る」という占いを信じ、愛していなかったナポレオンに人生を賭けた強かな女性である。
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