6月の誕生石パール「真珠」
自然の中で育まれる真珠は、真珠層が醸し出す独特の反射光の強さと鮮明さによる眩いばかりの光沢に、太古の昔から人びとが最初に酔いしれた貴重な宝石だ。真珠質(粘膜)を分泌して真珠層をつくるが、真珠は生きものでその過程で苦痛が伴うという(諸説あり)。皮肉にもその繰り返しにより美しさを増すのだ。またアコヤ貝は海水真珠のなかで『真珠の王様』と呼ばれていた。主な生息地はバナナ・ベルト地帯で、古代ヨーロッパ・オリエントでは王族や貴族など特権階級の間でもてはやされ、日本では『魏志倭人伝』によると、卑弥呼の後を継いだ「壱与」が5千個の真珠(白珠5千孔)を中国の王朝に献上した。通常、丸くて美しい5千個の真珠を集めるには2千5百万個~5千万個のアコヤ貝が必要だったことから希少性がわかる。その後「御木本幸吉」など日本人らによる養殖技術が確立すると、一般の人にも安定した質の良い養殖真珠が手に入るようになった。
宮尾登美子の著書『クレオパトラ』のなかで、最後の女王として熾烈な権力闘争の渦中に生きたクレオパトラは、内憂外患を一身に背負い込むと同時に、独りの女性として四苦八苦に見舞われるが(愛別離苦は特に彼女を深く傷つけた)、そのたびに彼女の魅力は増していった。アントニー(後の夫)との一国をかけた駆け引きで、耳につけていたプトレマイオス家に伝わる世界一の真珠を外し、それを酢に入れて飲み干すところは圧巻だ。真珠は身に付けている人のネガティヴな面を吸収し、美と健康にも良いとされる反面、自ら起こしたマイナスの力が本人にはね返るという。真珠好きの彼女は今わの際、因果応報の法則通りの結末を迎える。ちなみに真珠は直接肌に付けると良いとされる。
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